備忘録

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起床。牛乳、練乳、豚汁、かいわれ。パンストでスネ毛のストレッチ。
朝刊の配達。出勤すると、表で配達員が暇な手足をぶらぶらさせている。
A紙が届かないという。輪転機の故障で三十分ほど遅れるとファックスが流れてきたらしいが、一時間ほど遅れてトラックが到着。
いつもより湿ったミルフィーユ状の紙、インキの甘い匂い。
冬場は闇のうちに一気呵成、ルートを回っていたが、春が来てからは配達半ばで明るくなるから、急き立てられる感じもなく悠然と配る。
都営住宅の最上階で一服の時間を設ける。
環八沿いのシェル石油からのびる黄色い看板がマンションで半分隠れ、決まって昇りかけの月みたい。
悠然の足取りは、次第におそ松くんの足元になってすぐに完配。
帰巣、湯、カレー。仮眠。
ルンバのコンピレーションに入っているアリババという曲がチョーいいと再発見。
エキゾチズムが二度三度屈折してからストンと落ちる。
駅前の喫茶店でアイス珈琲。カウンターの中に、巻き毛の女の子を久しぶりに見る。
他の学生然フリーター然としたアルバイトとは、雲泥の差のたたずまい。
ドラッカーの金言よろしく、カウンターのマネジメントに飽くまで真摯な態度で取り組みながらも、ペーソスが漂っているところがいい。
いったん帰巣。途中、神戸屋であんドーナツを買い食い。「袋いりません」で五円引きになる。「ご協力ありがとうございます」と感謝もされる。
夕刊の配達。「粗大ゴミです」とシールが貼られた用途不明のフラグメントがゴミ集積所にいくつか残されてあった。
帰巣、シャワー、洗濯、カレー。
暮れ方の住宅街。駅前の喫茶店まで迂回して歩き、アイス珈琲。
ここ一年ほど通い、ほとんどのバイトの顔はなんとなく把握し、毎度毎度アイス珈琲のSサイズを注文してきたが、はじめて店員側から「アイス珈琲ですね?」と柔らかい音できかれた。
ときどき見掛ける薄化粧のツンな店員だった。デレな一面を垣間見た気がした。
「ひと拗ねてもの言わず白き薔薇となる」の句があるが、ものを言ってはじめて咲く薔薇は赤いね、と思った。
柄物のレスポーザックの奥様がたがガヤガヤやってきて、ガヤガヤやっている。
化粧品とダイエットの話、それにイケメンコーチの話。
看板まで滞在。表に出ると、夜の足が商店街を家路に急いでいく。
二十四時間のチェーンスーパーに寄ると、新入りだろうレジ係の顔に見覚えがある。でもなかなか思い出せない。
劇団員風の長身の若者。
お釣りを差し出されたときに、ここから数十メートル先にある地域密着型の食材屋でレジを担当していた彼だと気付く。
狭い店内を「このお菓子が買ってくれっていってます」「はいっ、五百万円のお返し」なぞ購買のおばちゃん式ユーモアであたたかくしていた彼に何があったのか。
一銭入魂のお釣りさばきは、チェーン店の接客をずいぶんはみ出していて、「研修中」の札がさみしかった。
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by huck-a-gelmondo | 2012-05-16 17:37