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キャッチボールの相手がいないと、キャッチボールはできない。
壁にチョークでマル描いて、エイヤッと球を当てればはねかえってくる。
しかしこれはキャッチボールではない。
心とココロの交流にあらずして、カフカが書くような自身の行き詰まり、イワユル不条理でしかない。

前に親友からこんな話を聞いたことがある。
友達と二人で電車に乗っていると、隣のサラリーマンがうるさかった。耐えられないほどに。
そこで彼はイマイマしさを抱えたまま耐えた。
しかし耐えられないほどのサラリーマンだったので、ストレスがレッドゾーンに突入する。
とそこで連れの友人が言った。
「隣の車両に移ろう」
これは処世術だ。
キャッチボールの相手に恵まれない監督は、この線で行くことに決めた。

キャッチボールの相手がいないならば、ボーリングをすればいい。

監督は「笹塚ボウル」に行き着いた。

ボーリングとは、ピッチングとバッティングを足してニで割ったようなものだ。
少なくとも純粋なピッチングではないし、同じようにバッティングだけでもない。
球を放るから一見ピッチングのようだが、その醍醐味はバッティングに近い。

「いや待て。ピッチングはピッチングでも下手投げならソフトボールじゃないか」
という向きもあろう。
しかし投げ方なんて問題ではなかった。
車両を変えてしまったのだから。

隣のレーンでは大学生がワイワイやっている。
女の子達は、ボールが重いのをいいことにヒ弱な自分をアピールし、オトコたちはボールが重たいのをいいことにワイルドで破天荒な自分をアピールする。

監督は黙々と投げ続けた。

大学生たちは一投一投に一喜一憂する。それも大袈裟に。
ガッツポーズ、バンザイなどが惜しみなく披露される!

なおも監督は黙々と投げ続けた。

大学生たちの騒ぎは最高潮に達する。
目下、もっとも可愛いとされる女学生がストライクを決めたのだ。
JJモデル気取りの田舎娘が!

(雨晒しになってボサボサに波打ったメンズノンノのような)田舎男たちは歓喜した。
まるで自分のことのように。
「他の誰よりも僕はうれしいよ!」

カジュアルルックのじゃが芋オトコたちは、競い合うように喜んだ。

性欲!
大学生たちはバットとボールの使い方を間違えている!
これは監督の求めるスポーツマンシップではなかった。

監督はボーリングにも幻滅し、男子学生たちはいつまでもバットを総立ちにさせたままであった。
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by huck-a-gelmondo | 2008-10-14 20:43