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双葉双一氏のショウは素晴らしかった。
ピックをつまむ右手が恋をしているように柔らかかった。
ティアドロップ型のピックはハートのかたちをしていたに違いない。

時計の針はすでに何周もしていた。
平民であるからには、終電の時間が迫り来るのを無視できなくなっていた。
ロシアから来たジョンソンtsuは、その夜を大都市のマンガ喫茶で過ごすつもりだという。
マンキツの噂はオリエント急行に乗って、ロシアの大地までも届いていたらしい。
「国立から二子玉川まではずいぶんとあるが、よければ泊まりにこないか」と誘うと、彼はうなずいた。

中央線に揺られ、新宿から山手線の外回りに乗り換えればいいものを、間違えて代々木まででてしまったためにすこし遠回りをしてしまったが、「言わなければわからないかな」と黙っておいた。
彼は聖書にキスをしている。

二子玉川では一緒に熊本系とんこつラーメンを食べた。
ジョンソンtsuがごちそうしてくれたのである。
風の強い晩であった。
玉川の土手を歩きながら缶ビールをあけると、夏の匂いがした。

その夜はマーク・リボーのアコースティック作品集を聴きながら二人で丸太ん棒のように寝た。


夜更け、ブツブツと呟く音が聞こえた。
薄目をあけて隣を見ると、ジョンソンtsuが寝言を言っているようだった。
ラスコーリニコフさながらの重苦しい寝言であった。
「タカナ、タカナ、タカナ…」
確かに夕食時、彼は高菜をトッピングし忘れていた。
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by huck-a-gelmondo | 2009-07-17 23:16

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ロシアから来たジョンソンtsuは、ビーサンにタンクトップで現れた。
西東京は夏日、晴れ模様だった。
国立の大学通りを歩く彼は、まるでプールサイドのニコライさんのようだった。
肩にはギターと鞄がタスキがけされ、右手にはセカンドバッグ(ミズノWORLD WIN)、左手にはキオスクの紙袋を提げている。
その姿は他ならぬ「旅」を思わせたばかりではなく、「亡命」の二字をも連想させた。
まさかのビーサンが、決意を表明しているようだった。

鞄の中にはマトリョーシカとサモワールが隠されているはずで、紙袋の中には粟おこし(大阪名物)が控えていた。
大荷物の旅行者を一橋大学構内まで案内すると、木陰の蚊が彼を刺した。

地球屋の店先のベンチには、双葉双一氏が小さな手帳にペンをスラスラ滑らせており、なるほど地球屋は清掃中だった。

やがて扉をあけて登場したママのエルさんは、やはりキュートだった。
ジョンソンtsuがカタコトの日本語で粟おこしを手渡すと、エルさんは「懐かしい!」とキュートによろこんだ。

リハーサルが一段落すると、エルさんは「一息つきましょ」と粟おこしを各人へ分配し、珈琲をいれてくれた。
ジョンソンtsuの鞄から、サモワールは出されなかった。
いや、鞄をあさるよりも早く珈琲が出されたのかも知れなかった。

最初に出演した「KE-CO BAND」は女性二人のユニットで、職業は女大工さんだという。
歌詞には「国道」や「246」などが頻繁に登場した。
ギターとベースの絡み合いは、意外にもナイーブであった。
ヤング・マーブル・ジャイアンツが大工で走り屋だったら、あんな音になっていたかも知れない。
終演後、歌をうたっていた彼女のティーシャツにナナハン・バイクの絵柄を見つけた。

ジョンソンtsuはいつの間にかドレスシャツに着替え、いつの間にかステージで歌っていた。
素晴らしいショウであった。
一曲一曲はシベリア鉄道よりも長く演奏された。
曲は「起」「承」「転」とプログレッシブにつづき、まさかの「起」に戻ると、必ず「プリージアンテ!」と結ばれた。

双葉双一氏も前のめりで見入っていた。

エルさんもナスターシャのような眼差しで見入っていた。

ステージを降りると、ジョンソンtsuはいつの間にかビーサン/タンクトップ姿に戻っている。
ウォトカの瓶が景気よくあけられ、双葉双一のショウがはじまった。

続く
(註:写真は、国立地球屋と一橋大学のあいだにある美容室、髪風船のスナップである。一世一代のダジャレに恐れ入った。)
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by huck-a-gelmondo | 2009-07-15 13:24

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そういえば、ジョンソンtsuが来日している。
彼の上唇はイタリアのプログレを口ずさみ、ロシアの大地ある方へと尖っている。
ジョンソンtsuのワイングラスは、喉を湿らすためにかたむけられる。
「イキモノのバランスをコワシタ罪は重い」
その喉は、フィナーレでそう叫ぶ。
観客にも唱和させる。
まるでカソリックの宣教師のように。
ガイジンに言って欲しいことしか、彼は喋らない。
恐怖の!
えせヘブライ語とカタコトの日本語とペラペラの大阪弁とのトリリンガル。
彼は今晩、国立の地球屋にやってくる。
変なガイジンは夏場の太陽を呪うだろう。
七夕の月は高く、そして大きいことだろう。

○7月7日
国立 地球屋

19時開場/20時開演
1000円
出演:双葉双一/KE-CO BAND/ジョンソンtsu


明日は渋谷へやってくる。僕も出る。


●7月8日
渋谷 青い部屋
「貴族的な、あまりに貴族的な」
19時開場/19時45分開演
前売り:2000円/当日:2500円

出演:日比谷カタン/ジョンソンtsu/双葉双一/高萩裕司


付記 MY SPACEで「ジョンソンtsu」の音、映像が観賞できるようになっている。
彼は一枚のライブアルバムと、一枚の双葉双一カバーアルバムを制作している。
さがしてみてはいかがですか?
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by huck-a-gelmondo | 2009-07-07 17:02