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雑記≒忘備録

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今年に入って一番いいテンポで配達を終わる。蝶のように舞い、蜂のように刺す。
舞うようにバイクを乗り降りし、刺すようにポストへ入れる。
客のない舞台、どっこい独り相撲。
月末の日曜は集金の山場。この日を逃すと月内の集金を逃す家も多いが、午前中は寝てしまい回れず。
結婚パーティーのために三本線のジャージで正装し、明治神宮前から歩いて東京ディクショナリーまで。途中、道を間違え代々木公園に出てしまい、淺井くんの植物が地面に焼き付けられている広場を見つけた。キャロルが流れている方を見ると、ロカビリーの一群が細い腰でツイストを踊っている。
体育館では安室奈美恵のライブがあるようで、「連番チケット譲ってください」とカードを提げてうら若い女性が立っている。いまは人でごった返すこの巨大な敷地の体育館で、これまでもっとも集客の少なかったコンサートはどんなだったろう。
線路沿いの並木道から下り坂へ抜ければ、バルーンのアーチがあり会場と知れる。
迷ったせいで遅刻をしたが、幸いまだ始まっていない。会場には約一年ぶりの顔ぶればかり。オナンさんの司会、ば神父、ライブ生け花、漁港、アコースティック越路姉妹、ジャグリング、島唄、盛りだくさん。
新郎、新婦、ともに美しい。喜界島で見る二人も美しいが、今日は自ら任じているところの求心的な力学。自覚とはチカラであり輝きだ。
後ろ髪を引き抜かれそうになりながらも渋谷から路線バスで帰ろうとターミナルに並んでいると、隣のバス停から代官山行きの循環バスが発車しようとしている。
一生に一回あるかないかの一日をたかだか仕事で失敬するなんて、なんという愚かしさだろう。祖師谷行きの列を抜け、小さな循環バスに飛び乗る。
二次会。ポールとクムにエスケープした旨を伝えると、「ヤー、もちろん」と返ってくる。豆のブッキングHが友川カズキ×前野健太のフライヤーを見せに来る。一年見ないうちに眼鏡が変わっていた。一年とは眼鏡が新しくなるくらいの長さだと知る。
Mとも久しぶりに並んで話す。ますます研ぎ澄まされていく風情を頼もしく思う。
DJから外池さんのライブ。明日も早いのでそろそろお暇、と思っていたがすんばらしくてとても帰れたものではない。押しつけがましさの微塵もない祝祭音楽。ポールも「オー、レジェンド。もちろん」と興奮している。
Yもエルクのアンプとモズライトを持ち込んで一曲お祝いの歌を披露した。
ベビーカーを曳くCママのお供をしながら代官山を出る。
掛け値なしに祝いたい日に、今年で一番たくさんの人と会った。言葉には熟成していくところと、反応していくところがあると思い出す。相手に反応して出てくる言葉には予想もつかないところがある。ライブや現場では予測が裏切られる、もしくは裏切ることのできる一瞬に沸点はマークされている。その一事をしか信用していなかったことも思い出す。メキシコから一時帰国中のHは「向こうの人はさ、みんな哲学と詩をもってる」と言っていたが、スペイン語が乱反射している様が見えた。はて、日本語は。
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by huck-a-gelmondo | 2011-11-28 23:42

雑記≒忘備録

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朝刊後、仮眠。のち集金、夕刊。引き続き集金。八時半までねばるがまだ半分も終わらない。
幼稚園の駐輪場でパトカーが転覆している。
店に戻り、さあ帰ろうとバイクに手をかけるとYに会う。いま家に寄ったが留守だったから書き置きをしてきたばかりだという。家に招き入れ、紅茶とコーヒー、プチチョコパイ、集金時にマダムからいただいた最中。
ギターも持参していて、明日のPとKの結婚パーティーで一緒にお祝いの曲ができないか、とのことだったがビッグ・ビル・ブルーンジーの曲、手に負いかねた。
こちらもギターを取り出して、少々カントリーブルース合戦の趣。ただ、どちらも覚束ない。
坂本慎太郎ソロをアイフォンから聴かせてもらう。夕立で濡れたズボンと、それを干すゆるくささった棒の曲にのけぞった。繰り返される「ズボン」と「棒」が脚韻も踏まないのに鮮やかな並び。「心地いい」と「ぽこちん」のように。
Yを送る。十二時過ぎまで寝られず。黒猫のタンゴを33回転で流しようやく就寝。
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by huck-a-gelmondo | 2011-11-28 07:10

露悪雑記


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快晴。どれだけ悪魔がだだをこねようと、覆りようのない快晴。
休みだが今日から集金が始まる。今月は購読者の在宅確率が高い日曜の午後に回れないので、休みを返上して回るつもりだったが、なにせ快晴。
布団を干し、陽だまりにカントリーブルースのいくつかを合わせてみる。ブラインド・ボーイ・フラーの悪ガキっぽい感じ。
バイクで仙川に。若葉町という街外れを通って行くと、高いフェンスに囲われた野球のダイアモンド。
脇には木立に覆われた暗がりの小路。小学生が俯いたまま棒きれを引きずって歩く。地底人との対話。
ホームセンターにバイクをとめて、スパイシーなドリップコーヒー。喫茶店に女子高生の声が通りまくる。日比谷野音も生声でいけるか。
駅ビルの百円ショップで指先のない手袋を購入。集金に軍手は都合が悪い。かといって日没後は素手では厳しい。この前の冬は軍手で乗り切ったが、今回の冬は同業者のススメで指なし手袋を試してみることに。
古本屋を冷やかすと、tbsラジオが大きな音で流れている。
「日本人は中国の女性にもてるということはあるんでしょうか?」
「あー、ええ。まあ向こうは草食系男子が肉食系女子に薔薇を捧げて媚びを売っていくような社会ですから、それなりに日本人がもてるということはあるでしょう」
「すると○○さんも留学していたときはかなりおモテになるんでしょ」
「いや、まあそれなりに分別をもって中国の女性と接しておりました」
云々。

ホームセンターで土鍋とガーデニング用の軍手を購入。冷たい雨の日のために。
商品棚は借りてきたネコみたいな商品でいっぱい。あらゆる生活感で飽和している。
飽和しているからいいのか、白々しいからいいのか、人のあまりいないホームセンターをあてなく歩けばやるせなくなり、自暴自棄の観、センチメンタルが怒髪から抜け落ちていき、善い。
商店街の金物屋ではいっぽうおセンチに染まるというに。
結局、集金はめんどっちくなり辞める。
或る人は明日は明日の風が吹くというし、ダイエットは明日からという。
また或る人は明日に向かって走れ、今日やれることは明日やれというから、集金は明日から始めよう。
また、俺たちに明日はない。というのもよく聞くから、今日やらなければ明日はやらなくて済むかもしれない。
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by huck-a-gelmondo | 2011-11-25 23:16

露悪雑記

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ヒートテック二枚の上に薄手のセーター、さらにフリースを重ねて防風防水のジャケットでようやく完成。
図らずもというか成るべくしてすべてユニクロ製。
ここ数日は夜もかなり更けてから昇りはじめる月がだんだんと薄くなっていく。気の利いたアクセサリーのようで、ぶら下がるのも躊躇われるほど。
朝焼けのあとのほうが、夜中よりも寒さが厳しいと近頃知る。
熱い湯に浸かるといつも少し寝てしまう。湯船の中で曲げた膝が伸びようとしているらしく、起きると必ず痛む。
ブランチュールとコーヒーと新聞とバラカンモーニング。ラジオでデラニーアンドボニーを久しぶりに聞く。
夕刊がないのでジョージ・ハリスンの映画リビングインザマテリアルワールドを見に行こうと仮眠。三時間半もある長い映画だからだ。
駅前で地元密着タレントオーディションがおこなわれている。紙芝居。
サウンドシステムは演者の前に置かれたパイプ椅子上のデカい拡声器、街頭演説スタイル。
続いてAKB48を振り付け付きで歌う女の子三人組。小学生か。
しかし踊りも表情も堂に入りすぎていて照れちゃってからに場を離れる。親心でしか眺められ得ないであろう光景のひとつ。
永遠の各駅停車、南部線を乗りついで立川から昭島まで。車窓にクロスする多摩川。
立川で途中下車。駅前にはネコの耳をつけたおねえちゃんがティッシュを配っている。ミニスカートのおねえちゃんもティッシュを配っている。
安物の香水のように甘ったれた「おねがいしまーす」の声にお願いされてしまう人多し。
立ち飲み屋でウーロンハイ二杯、中央線に染まった顔で五日市線に。
昭島モリタウンは人出多し。地元の家族連れ。地元の若年カップルはベンチでキッス。
映画館の表にはビング・クロスビーのホワイトクリスマスがかなり大きな音量でリピート再生されている。口笛を合わせる。
2500円を払い入場。250人ほどのキャパシティーの中、客は10人ほど。
見応えあり。ビートルズでの経験から、ジョージは世間の中で他者として生きることをし始めたんじゃないか。
世の中で記号として言われている「ジョージ的」な立ち位置。リードギターで長髪で髭で痩身イコール・・・、という乱暴な印象論もあれば、寡黙、宗教色、ひねった曲、などをもって第三者的なんでしょ、へそ曲がりなんでしょうが。という認識も?
彼の人生にドローンしている個の強さ、アクの強さは、ビートルズの看板になれなかったことからくるのかもしれないが、故に在る他者としての強さなんじゃないか。だからクラプトンにパティを差し上げたときにも崩壊しないものがあった。「君の妻に後戻りのできない感情を燃やしてしまっている。君の意見を聞きたい」と面と向かう好漢のクラプトンには好感。
フィル・スペクターの濁声、目玉、鬘。
映画も大詰め、ロイ・オービソンが亡くなるあたりから字幕とテロップが出なくなる。頑張って聞き取ろうと耳を澄ますが、流暢な英語がマントラに聞こえてくる。ラビ・シャンカールの英語なら聞き取れたか。
しまいにはクラウス・フォアマンが英語を話している物腰柔らかい様子が、日本語を話しているピーター・バラカンに聞こえてくる。
20分ほどするとスクリーンが静止、館内に灯りが点り従業員から「字幕の出なくなったあたりから再上映いたします、依存はございませんか?」とのこと、興も冷め、大いに依存があったので連れ戻されたマテリアルワールドでフィナンシャリーに払い戻しを受ける。
南部線を待つプラットフォームにある公衆電話で、高校時代にバンドをやっていたSに電話をする。当時のバンドスポック王子のレパートリー、ナッシンシェイキンを演奏するハンブルグ時代の映像があったから。
スーツを送り返した旨を伝えようとKにも電話すると、デザイナーズマンションとエンゲージリングを買うことになりそう、あと談誌が死んだ。とのこと。
何年か前に正月の新宿ですれ違った立川談誌のダッフルコートと枝のように細くてまっすぐな足を思い出し、サボイ・トラッフルを口ずさんで饅頭をほおばる。
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by huck-a-gelmondo | 2011-11-24 07:30

露悪雑記

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生ぬるい風。排気口が常に追い回してきて背後から汚い息を吐いてくる。
配達の途中で猛烈な眠気に襲われネオメゾンの前で仮眠。たまたま通りかかってしまった人がいたら驚かせてしまったろう。
以前イケダ荘という薄汚いアパートの前で、何かを待っている風にじっと暗い道のあちら側を見つめている老婆に出くわしたときは冷やっとした。
あるマンションの共用部でいきなり自転車の前カゴに入った袋から電話の音が鳴り響いたときも驚いた。
世田谷でいっせいの健康診断がある。千歳船橋にある世田谷工場に世田谷中の配達員があつまる。駐車場はカブの群れ。大きなトラックに巨大なロールペーパーが積んであり壮観。
レントゲンからはじまり尿検査、体重身長、体温、血圧、視力聴力、カーテンに仕切られた向こうで個人診断、心電図、採血、インフルエンザ予防接種、がベルトコンベアーに乗るように淡々とおこなわれる。
集まった配達員はやはりさまざま、太ってるのもガリもハゲも茶髪もいるが、日本人のみ。昭和のいるこいるに似たおとうさん、越路吹雪の面影が薫るおにいさん、aikoパーカーを着たあんちゃん、みんなスニーカーが勇ましく汚れている。総じてちょっと薄汚いか。
ほとんどの人は支給されるユニフォームを着ているが、いろいろなパターンがあることに驚かされる。長ランみたいのもあれば、背中に「CHALENGER」の文字を背負わされているものも。
所長から昼食代が出たとのことで同じ営業所の三人とデニーズで飯を食う。ほぼはじめての会食。
同い年の青年は飯舘村出身で帰省もままならないが悲壮感はない。村上隆に少し似ている。年下の青年はいつもジーパンにネルシャツにニットキャップの私服、北海道出身でただ独りバイクではなく電動自転車で配達している。キングカズと同い年の大分出身者は飲む打つ買うの三拍子そろった愛すべきダメ男の風情。聞けば自衛隊出身とのこと、訓練の様子などをどもりながらぽつりぽつりと語ってくれる。
相槌をうちながら、「はあ、はあ、それで角刈りの方が・・・なるほど」「じゃあ祭りのときはみんな角刈りで出店に立つんですね・・・へえー」「ほう、敬礼のときは指先をビシッと角刈りに合わせると・・・」などと自衛隊=角刈りの先入観を押し売りしていたら、五度目くらいに「ぜんいんが角刈りじゃねえぞ」とおっしゃっていた。
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by huck-a-gelmondo | 2011-11-21 21:01

露悪雑記

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早朝から雨が降る。六時くらいまではせいぜい小雨程度でなんとかもつだろうと思ったが、四時くらいから降ってきた。
すべての新聞はビニールをかけずに中継へ出してしまったので、カゴに敷いたビニールを覆い被せてやりすごし、多少濡れてしまうのは勘弁してもらうことにする。
雨の日はただでさえ手間がかかるのに、夜と朝の境目が曖昧なので時間がひどく引き延ばされている気がする。終わってみれば何のことはない、すべての配達を終えるのに一時間ほど長くかかっていた。現実よりも錯覚のほうがいいかげんなものだ、という妙な理屈。
熱い湯に浸かる。チョコレート菓子をつまむ。ルンバのコンピレーションを聞き流す。そうしてバッチリ起きてしまった身体を布団へ向かわせる努力をする。
十時に目覚める。雨は強くなっている。冷たい床の上をスリッパで歩き回る。
ゴミを出しながら外出。意外と商店街には人出があり、意外と自転車の行き来も多い。駅前まで足を伸ばし、二百円のコーヒーで小一時間をつぶす。かわいらしいカーリーヘアーの女の子が湿ったコインと交換にコーヒーを差しのべる。なぜか「終末のタンゴ」がぐるぐる。腹筋海綿括約筋。
シャンプーとカセットボンベの買い物を済ませばすでに夕刊の時間。雨はやまず。飛んで火に入る夏の虫に同情したくなるような気分で、乾いたカッパを着て雨の中に飛び出す。
ピンクレディーのサウスポーを口ずさみながら、「恋は野球のようだよ」という場合と「野球は恋のようだわ」という場合について考える。人生を語るときにベースボールレトリックは便利で、恋のラストイニングだとか、直球だねとか変化球だぞうだとか、とかく乱用されがちだし自分も何かとお世話になっているところだけれど、サウスポーになるとスター選手が打席に立つところから始まってひたすら野球、描写が意味を外してこない。そして熱くなった唇で「熱い勝負は恋の気分よ」とくるからたまらない。土曜日の夕刊は薄くてポストに入れ辛い。
熱い湯に浸かる。カッパを干し中敷きを乾かし、鍋を温め立ち食い。
きょう発した言葉「おはようございます」「ブレンドコーヒーをください」「袋はいりません」「熱い勝負は恋の気分よ」
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by huck-a-gelmondo | 2011-11-19 22:44

露悪雑記

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いま借りているオイルヒーターとガスファンヒーターを交換しないかと連絡があり、近所の喫茶店まで。喫茶店というよりもカフェか。
引っ越し先でガス口がなかったとのこと、ともあれ非常に助かる。しばらく前に拾ったと言っていた子ネコがずいぶん大きくなっていて、ちゃっかり名前もつけられている。もともとネコを飼っていたからこれで店内にネコ二匹。じゃれ合っている様子を見ていると飽きないのは、人では考えられないアクロバティックな動きの連続だからだろう。やくざが義兄弟の契りをどのようにするかを説明していると、店内に流れていたロンサムストリングスがやくざの静のテーマとしてしっくりくる。
女性二人が入店。親子か。年増の方がネコに興味をしてしている。子ネコが彼女の膝に乗っかると、声を限りにギャーと叫ぶ。いわゆる悲鳴。反射。久しぶりに聞く。おばさんはこうして自動的にストレスを発散させるようにできているんだろうか、と意地悪な結論に至る。午前中に聞いていたスーサイドのアラン・ヴェガよりも真に迫ったスクリームだった。
珈琲が不味くなったので、ストーブをカブで搬送してからお茶の水へ。楽器屋を冷やかしながらジャニスへ行き、CDを十枚借りる。Mさんのアルバムがマジカルパワーマコの隣にある。以前、H君の仲介で深夜の映画上映イベントでDJをお願いした方が貸し出しの対応をしてくれる。深夜に会うとボンクラ風なのにカウンターを挟むとしっかりしている。さぼうるでナポリタンを食らう。大盛りだがほぼ炭水化物。満足。きれいな女性三人とすれ違いながら再びお茶の水に戻り、橋の上でケチャップ色の息を吐く。
せっかく千代田区に来たんだから、と湯島にある兄の店へ顔を出してみる気になり、北上。サラリーマンがしゃなりしゃなりとホテル内の喫茶店に入っていく。脳内の配線が違っている。文京区にあっても、湯島と上野の境目にはラブホテルが多い。湯島天神の中は、菊祭りの残響音が闇に不気味だった。店にはすでに客はなく、仕込みをしていた。弟子の子は鶏をさばいている。兄はスープをこしている。Rさんは洗い物をしている。
仕込みを早めに切り上げてくれたようで、久しぶりに一杯やろうかとなり兄とRさんとで上野広小路まで。ダーツのあるメキシカン・バーへ。どんなゲスな料理でもいいところを見つけ、食事の時間を幸せに増幅させる魔術を兄は持っている。批評家面のプチ・グルメは全員餓死するべきだと思う。三人でダーツをするが、意外と筋がいいということになる。野球の素養がうまく作用しているんじゃないか、ということだがフレンチのホールをやっている方はおしなべてリップが上手でらっしゃるから半分で聞いておくことにする。実際、彼女は一点差で負けてみせるという荒技も見せてくれた。
終電で帰宅をはかるが、経堂で気持ち悪くなり下車。終電だったので駅前のマクドナルドでコーヒーを飲んでから歩いて帰ることにする。おしゃれマックにつき、店員はベレー帽にスカーフ。隣の席には自己分析欄を前に悩んでいる女性と、靴を脱いで爆睡するこれは試験前の学生か。
終末のタンゴ、メンフィス・テネシー、マリアはどこへいった、を聴きながら夜道を家路に。環八もセブン・イレブンも眠らない。
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by huck-a-gelmondo | 2011-11-18 06:45

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正直、監督は憔悴していた。
日ハムの帽子は煤け、指のつけ根に鞘状だった豆も茹ですぎた枝豆のようにふやけていた。
光陰は伊良部のストレートの如く、日々は足早に過ぎ去っていった。
シーズンが終わったはいいが、次のキャンプ地候補もまだ決まっていない。
熊本は土も水もいいと聞いたので興味がムクムクとわいてはきたものの、夜にはクマが出そうなので怖かった。鳥取はトリが恐ろしかった(宿敵の鶯谷ホトトギースをお忘れじゃあないかい?)。
そんな中、喫茶店でルールブックを読んでいるときだけ、監督は人生の充実を感じることができた。
・・・・
監督またはコーチが投手のもとへ行った後、投手板を囲んでいる十八フィートの丸い場所を離れたら、一度行ったことになる。
(*公認野球規則2010年度版 8・06(d)より)
・・・・
ほとんどなんのことやらわからなかった。
ルールブックにあるすべての記述は隙間を埋めるようにくどくどしく無味乾燥で、あるいはドイツ人が書いた論文をアルバイト学生が誤訳したままになっているんじゃないかとも疑われた。
それに飽きると、白紙のスコアブックを開き、ゆっくりと試合運びを空想していく。
世間ではもう一方の日ハムがとても人気だ。ダルビッシュもいるし、今回のドラフトでも一貫して進歩的な態度をとっていたのは日ハムだった。
そして監督は、スコアブックを前にボールペンを握り、日暮里ハムスターズ対日本ハムファイターズの交流試合を想像する。
白紙のスコアブックの前では、すべての野球チームが平等であった。
西村賢太も日ハムのファンであるというから、球場まで応援に来てくれるかもしれない。そして充実した投手陣を誇るファイターズを相手に、奇跡が起きるかもしれない。
ペン先から流れるインキが、スコアブックへメークミラクルの花文字を描いていく。
隣の席ではママさんたちがハイトーンヴォイスで途切れ目のない会話をしている。化粧品のあれこれを、あれが良くないとかこれがいいとか話している。
奥さん方はとてもきれいにお化粧をしており、たしかに年齢の柵越えを果たしていた。
監督はこれがほんとのメークミラクルだと独りごちた。
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by huck-a-gelmondo | 2011-11-13 00:37

前略。

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さいとうくん、日本のプロ野球も大詰めです。やはり毎日スポーツニュースにかじり付きですか?
わたしはといえば、実を言うとプロ野球をあまり知らないのです。もちろん篠塚や川相の頃は毎晩ナイター中継にロックオンでしたが、その頃は自分でも白球を追いかけていたわけで、それも当然と言えば当然かもしれません。

閑話休題。先日は双葉双一氏のスタジオへ遊びに行ってきました。
前回おじゃましたときには、近所の神社へ茅の輪をくぐりに行ったので正月のことでしょう。いつだってあの街に降り立つと、下世話で地に足の着いた大衆文化こそ真なりと呟いてしまうものです。
商店街を抜け、簡単でない細い露地を伝い歩くと、簾の下りたスタジオの入り口に行き着きます。
曲は膨大でした。歌が吹き込まれたカセットテープはいくつも散らばり、言葉が書き散らされた紙片が木の椅子にうずたかかった。天井が高く光のよく射す部屋は美しく雑然としていました。

中でも「ローラースケート日和」の録音を聴いたら驚くでしょう。もっともきみの好みではないかもしれない。しかしあの曲のあのテイクが、独りきりのガランと広い部屋からうまれたことを考え合わせると、ちょっとゾクッとなるはずです。
或る創造の過程を想像するときに、はかりきれない、底知れず、奈落の、地獄のような、得体の知れない脳髄の喜びがあったとしたら、それは自分にとって向かい合うに足る対象なのではないでしょうか。
バントのサインを送られた打者が、バッターボックスの土をスパイクでならしながら聴くスタジアムの歓声をわたしは想像することができます。
「ローラースケート日和」で始終鳴り続けるギターの音は、打席中の彼が聴く静謐な混沌とした轟音です。

ところで先日、あなたは会話中にベースボールコンセプトアルバムの構想を思い出させてくれましたね。すっかり忘れていましたが、機の熟す頃はきっとくるでしょう。
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by huck-a-gelmondo | 2011-11-08 07:12

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泣きっ面に蜂
空きっ腹に毒
プランターのにおい
のっぱらに君
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by huck-a-gelmondo | 2011-11-08 01:23