リサイタル写真式

先日の青い部屋でのリサイタル稲荷式時の写真が
http://www.smashingmag.com
にて見られます。高萩柚氏の奥義、一晩中にアゴ髭を伸ばしたり縮ませたり、片手も使わずに分け目やヘアースタイルを変えてみたり、その模様があなたにも了解されることでしょう。
写真に加え、純黄色人QUAWORUQUO女史による会心のポスト音楽的レポートが載るはずだったのですが、残念なことに見当たらないようです。
なお、写真はフォトグラファー・ナチルダ夫人によるもので、彼女は気配を消す魔術の名手であり、懐には空間を切り取るための切れ味鋭い鋏が仕込まれています。これは言わずもがないい写真家と誉れ高いことを意味します。
[PR]
# by huck-a-gelmondo | 2005-03-17 08:23

3月10日の10時を過ぎたあたり、ハッピーディスパッチとして横浜はBBストリートに出演しました。駅前の、百貨店めいたビルの最上階にあるためか、蛍光灯に照らされるには無愛想すぎるギターケースにいいかげん愛想が尽きました。
手ぶらに微風の折には嬉々とした長い髪の毛も、ギターケースをともなうと萎れかえってしまうのです。
以前、バンジョーの練習のためいまから戸山公園に行くんだと息を弾ませた友人にバッタリした際、彼の背中に負われた下端が円くなっている小ぶりのソフトケースがたまらなくキュートで、別れた後もしばらく後姿を眺めさせられたことがあります。
その時は確かにバンジョーの円いドラム部のシルエットにやられましたが、ギターより小さいということを別にすればバンジョーの魅力はそれくらいなもの。バイオリンであればなお好いし、茶袋からはみ出したフランスパンだってギターよりはずっと魅力的です。
「ギターでなければなんでもいいな」
アコースティックであれエレクトリックであれ、ギターをケースに入れて持ち歩くその画一的な「どうしようもなさ」を思い知らされるたびに、そう呟いてしまいます。
となると、移動するときもむき出しのまま、常に肩へぶら下げているしか方法はないように思われます。

3月13日には古今亭志ん公、古今亭朝太、両氏の落語と、YOSHI×YOSHI、越路姉妹と一夜を盛り上げるべく、バンドでの出演をしました。お客さんの年齢層が高く、端から順繰りに齢を足していったら天文学的な数字になったことでしょう。可笑しな夜だったように思います。
来ていただいた方、どうもありがとう。

次のステージは
3月19日(土)  渋谷青い部屋 『アングラ喫茶★東京 3周年記念スペシャル』
19:00open 19:30start 23:00close
¥2800(1D付) ¥2500(1D付/予約)
【喫茶の女】NORO 【喫茶ハコバン】ハチロック(宅八郎) 
【SP出演】松本キック(大川興業/ex.松本ハウス)+漆谷犬多(大川興業)
【今月のお客様】ハッピーディスパッチ
【友情出演】紫ベビードール 【DJ】うー、koume、新津洋祐
この夜のホスト役でもある喫茶の女noro女史による、ハッピーディスパッチへのインタヴューもあるそうです。どうぞいらっしゃい。
[PR]
# by huck-a-gelmondo | 2005-03-15 12:30

双葉双一考稲荷式 


「郊外にひっそりと建つ洋館の北向きの一室に藤椅子を据えると、飾り窓から洩れ入る薄光とヒョロ長い指にはめられたリングをつかって華奢な反射をアチコチさせ、阿片吸引者の憂鬱でゆったりと、物憂げに瞬きをしました。表には露に濡れたクローバーのふっくらとした緑が広がっていて、内股の遊戯に興じる女の子の嬌声が賑やかに響き渡っています。」
話には続きがある。
悲しむべきことに、この一室には下駄箱が据え付けられているのです。
「それまでのスリッパからシークレットブーツに履き替えると、扉――それは扉とはいえない、実は引き戸である――を開けて外に出るでもなく、体は室内に向けられ、玄関の反対側に位置する窓の方向をボーっと眺めているのでした。」
彼は飾り窓に垂れるべきビロードのカーテンを引いておくのを忘れていました。ブーツを脱ぐのは面倒で、しかし当然土足厳禁のこの部屋、このまま向こう側ヘ渡るためには「玄関」から解放されねばなりません。


双葉双一世界の悲しさとは、下駄箱の悲しさです。姉がだんだんと発狂していく悲しさでも構いませんが、そこには否応なく蚊取り線香の煙が覆い被さってくるように思われるのです。いくら上目で豪奢なシャンデリアの灯りの数を追っていようとも、下方右手の薬指では畳の凸凹した連なりを勘定しているように。これを双葉双一自身の問題に置き換えてみると、どうも彼にはマドレーヌをつまもうとして伸ばした指先に芋ようかんが触れてしまうようなところがあります。どっこい、彼の気品高きフリルシャツは、本来の目的を達し得ぬという一事をもって、愛嬌とともに芳醇な香りを昇らせるのが、しだいにわかってくるのです。
つまり、彼は指先のようかん色に気が付いてしまった!
先の話は「双葉双一に気をつけて」「春と乙女」までの話であり、このあと彼は、手ごろな業者を呼んで建物の一部と化していた下駄箱を上手にカムフラージュすることになります。しかしなにを思ったか、「月下の一群」風の書架・机から、「鈴木いずみ」調の寝具に至るまで、家具調度もそっくり取り替えてしまったのです。冷蔵庫の中にキテレツな色合いのクリームパイが所狭しと並んでいるのはせめてもの救いです。かつそれら調度品、すべて丸井で間に合わせたというからビックリ!と同時に、しぜん彼自身も変わることとなります。

「ママレードパイのかわいい食事」「涙の小鳥」と続く、凡百の色彩を得た双葉双一世界は、「無印良品製王子様のつれづれなる独り言」とでも言うべきもので、それ以上でもそれ以下でもありません。
先行して手売りされていたカセットテープを通して我々の耳になじんでいた物語の数々、文庫本ほどの大きさしかないパナソニック社製のテープレコーダーと、傍らに座した小さな恋人に向かって粗い印刷の花文字を詩情たっぷりに唄っている彼は居ないのです。
そこにはかつてあった叙情も郷愁も愛嬌すらも見当たりません。あるのは無印良品カタログを切りぬいたような、特徴のない部屋に寒々しく転がる似非宝石と、響く変わった声だけ。
この詰まらなさ、ひとつには「出力」ひいては「装丁」の問題で、愛蔵版星の王子様の表情にも通ずる詰まらなさが映ります。つまり、購入され得るものであっても、しぶとく消費されるものではない!
下駄箱を隠蔽することで愛嬌まで失うとはなんとも恐るべきこと、簡単に言えばニオイがしなくなった。鼻腔を刺激しない物語にふくらみを望もうとしたって無茶です。同じ一つの言葉や同じひとつの音、感嘆符に至るまで、発声発音ひいては口内炎の有る無し、その他さまざまな原因によってその効果が大きく左右される、そんな当然にしてファンタジックな事実へ、双葉双一に魅力をおぼえた者だからこそ、気付いてしまう悲しさよ。
現にホラ!ボードレールが気まぐれに慈父と呼んでしまったあのお日さまのさばる日中には、星の幾ばくだって見えやしないじゃありませんか。
彼の下駄箱時代は幸福だったと云えましょう。「斜陽」めいた世界への郷愁には、有無を言わさぬなにかがあるからです。ナオミズムの展開される洋館にも下足箱はあったろうし、だいいち彼の手にかかればアポリネールだって沓脱ぎ石に足をかけることでしょう。
無印良品製王子様のいたっずらな宝石ごっこに心奪われることのできる幸せな女子諸君は別にして、現在のところの双葉双一の魅力とは、「神秘的な洋館を目指す木枠の引き戸」といった趣があるように思われます。


彼は今後、若きドン・ジュアンが遊ぶ別荘地へ辿り着けるでしょうか、それともラコスト城の麓まで行きつくことになるか、はたまた噂のサロンまで?
もっとも彼自身、実はそこまでのハイカラなぞ望んではおらず、案外東高円寺の地下によく見られるような「ニセモノ」への嗜好があるのかもしれません。であるならば、彼が戯作趣味の逐語訳は、それはそれで幸福な路を歩むことと思われます。なぜなら双葉双一には、水色の織糸が薄いネッカチーフで堂々としゃれ込んでしまうようなところがあるからです。

付記  自身の生演奏で聞く双葉双一は、いまだ青い月影に浮かぶ洋館の主たる面目を保っているから困りものです。そんなライブでの彼には頭を垂らし耳を澄ますほかなく、時にその湿った濃すぎる紫煙に我々は胸を詰まらせてしまいます。
[PR]
# by huck-a-gelmondo | 2005-03-13 01:58

停電ファンタジア

「世に云うファンタジイとは………ひとつには自然の解体作業である」
ではここにコペルニクス的転回前の天動説を思い起こしてみよう。
まったくイカシタお話だよ!  
先ほどの真夜中頃、歌舞伎町中の電気が消えた。
一畳程はありそうなお化けブレーカーが落っこちる音もきこえた気がする。
すると上空から青い灯りが一面に、蛾のお姉さんから鴉のお兄さんまでを染めあげた。
お月さんがここぞとばかりにね。
ここが港町でないのが悔やまれる夜の薄明かりに、先のセリフが口をついたのであーる。
[PR]
# by huck-a-gelmondo | 2005-03-08 03:07

生涯三秒主義

文庫本の解説目録に目を通していると「生涯の要約」によく立ち会います。
バンドのオソマツなプロフィール同様、見せたいところだけを極端に色づけしているので、気のおけない友人と興じるコトバ遊びにも通ずる興奮があります。
つまり,「そうとも限らないよ」とシタリ色の例外(クチバシ)を挟む手合いが居ないという痛快。
以下、辻潤の「あんまり」な生涯をコミカルな音楽にのせて三秒で…

「自由を求めて絶望を知り、伊藤野枝と結婚し数年で離婚、尺八を吹き各地放浪の末、巷間に窮死したダダイスト辻潤。(講談社文芸文庫解説目録ヨリ)」
[PR]
# by huck-a-gelmondo | 2005-03-07 02:36

青い部屋での『高萩幽司リサイタル稲荷式~イースタンユースをぶっ飛ばせ~』に来ていただいてありがとう存じます。

次の演奏会は、横浜はBBストリートにてハッピーディスパッチとして。

3月10日(木)  『ブレーメンの音楽隊』
横浜BBストリート 
W/ ごくつぶし(from名古屋)/らぞく/ねたのよい/不謹慎シンドローム/
井関靖将/モーレツ暴んギャル怒

どうぞご贔屓に。
[PR]
# by huck-a-gelmondo | 2005-03-04 02:40

井の頭線

電車の最後尾にベランダ式の張り出したペアシートがあったなら、最終列車のその席で、きみとタバコに点火して、火花のキラキラを蒔いていたい。
それに飽いたころには目的地なんか忘れているだろうよ。
[PR]
# by huck-a-gelmondo | 2005-03-02 08:08

退屈な出来事

アナタの恋人は東京タワーに髪の毛の先端を引っかけてしまうようなところがあります。当のアナタはというと、黒いショールの裾で陳列棚に並んだガラス細工をなぎ倒していく格好だ。

今回の椿事に関して、私には「起こるべくして起こった」としか云えませんなあ!
[PR]
# by huck-a-gelmondo | 2005-02-28 11:08

街が海底色に沈むころ東のあっちや西のこっちに散り散りする窓という窓から白桃を模したような泡が大きいのから小さいのまで不規則な列をつくってあぶれ出てくるので、プラットホームに立つ君にも「これは『よる』が来たんだな」と了解されるって訳さ。
[PR]
# by huck-a-gelmondo | 2005-02-27 18:02

3月2日(水) 渋谷青い部屋   『LIVE SALON』    

19:00open 23:00close

w /SOZORO、LOU

※お食事・タロット占いあります

¥2500(1D付) ¥2000(1D付/予約)

昨年12月31日以来の高萩裕司改め高萩幽司のリサイタル。
出番は20:00を予定。

曰く、「本棚を減量させていくように、曲を半分まで減らす。そう、満点の星空なんて云うけれど、ありゃあちっとも美しいもんじゃない。夜空が湿疹をもっているようで、ブツブツと不穏なだけです。蒐集至上主義のアブラ臭さもまた然り。小さな奴がパラパラと散っていてこそ、シャレた晩なんです!
好きな曲しかやりませんよ。散らぬなら 散らせてみせよう 星屑夜、そういうことです」 
[PR]
# by huck-a-gelmondo | 2005-02-27 11:47